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Overview 日本館について
Concept コンセプト
コンセプトのイメージアニメーション。土から芽吹いた植物が成長し木になる。木が製材され椅子になる。椅子が壊れバラバラになり土になる。姿を変えながらも「いのち」をつなぐ循環のアニメーション。
人間だけではありません。すべての動物や植物は、あらゆるモノは、そして社会でさえも、ひとつの役目を終える瞬間に何かが受け継がれ、カタチを変えながら新たな役目を獲得する、というつながりの中に存在します。そんな「いのちといのちのあいだ」に目を向けてみると、この世界は無数の「小さな循環」によって成り立っていることに気づくはずです。
これからの豊かさとは、すべてのいのちに敬意を払いながらその意味や価値を見つめ、大きなつながりの一部となることで生まれるはず。そしてそれは、この国に息づいてきた自然観や美意識に他なりません。
「いのちと、いのちの、あいだに」
はじまりもおわりも存在しないひとつの循環の中で、あなたは何を感じ、何を考え、何を受け継ぐでしょうか。
日本館をより深く楽しむための公式Webマガジン
日本館のテーマ「いのちと、いのちの、あいだに」。
その根底にある「循環」の価値を知ることで、日本館をより深く楽しむための公式Webマガジン。
それが「月刊日本館」です。
2024年4月から、万博が開幕する2025年4月まで、毎月異なる特集テーマとともに更新を予定。
私たちのすぐ身近にある循環を見つめながら、これからの社会のあり方や、持続可能な未来へのヒントを探求します。
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Architecture 建築

円環状の構造体によって、いのちのリレーを体現する日本館は、ホスト国のパビリオンとして唯一無二の存在感を放ちます。最大の特徴は、円を描くように立ち並ぶ無数の「木の板」。その隙間からは内部を垣間見ることができ、中と外、展示と建築の連続によって、日本館のテーマにもある「あいだ」を来場者が意識するきっかけをもたらします。主にCLT(直交集成板)で構成される「木の板」は、万博終了後に日本各地で建物としてリユースされることを前提に、解体や転用がしやすいよう工夫されています。
Experience 体験

「ごみを食べる日本館」。その正体は、バイオガスプラント。万博会場内で出たごみが、微生物のはたらきによって分解され、バイオガスとして再生される。その過程をインスタレーションで追体験しながら、プラントで生み出されたエネルギーが日本館を動かすさまを体感する「生きたパビリオン」です。3つのゾーンで構成される館内をぐるりと一周することで、日本の美意識である「循環」の意義を理解し、自分自身も、その果てしなく壮大な物語の一部であることを感じていただきます。循環は、はじまりも終わりも存在しない永遠のつながり。3つある出入口のどこから入り、どこから出るかによって、異なる物語を味わうことができるのもユニークな魅力のひとつです。
Visual System
ビジュアルシステムのアニメーション。有機的なパターンが円形に模られている。それは生命が細胞分裂をするようにどんどんと細かくなり、そしてまた一つの大きな細胞に戻っていく。分裂と再生を繰り返している。
日本館は、ビジュアルシステムもひとつの「いのち」であると考えます。呼吸し、成⻑するかのように分裂と融合を繰り返しながら、絶えず変化を続けるそのデザインは、いのちといのちのあいだにあるものに目を向ける、という日本館の存在意義を体現しています。ひとつの「図形」としてではなく、変化の「過程」が訪れる人の記憶に刻まれていく。そんな視覚体験によって、日本館と人々のあいだにひとつの循環を生み出すことを目指しています。
Uniform ユニフォーム
きれいに包まれた風呂敷からユニフォームが出てきて整然と並ぶ、ループ再生のストップモーションアニメ。並べられたユニフォームは、左上からハット、Tシャツ、ゴールドのスカーフ、バッグ、ジャケット、パンツ、雪駄、足袋の8点。ウェア類は畳まれたままの状態で並べられている。ユニフォームはまた風呂敷の中に戻っていき、きれいに包まれる。
日本館のアテンダントユニフォームは「日本の美意識を纏う(まとう)」をコンセプトに制作されました。
着心地、動きやすさ、暑さ対策などの機能性に加え、環境に配慮した素材の使用や会期終了後のリサイクルなど、さまざまな視点に基づいた工夫が盛り込まれ、着物の構造をもとに、余白を大切にする日本的な感覚を体現しています。
移り変わる季節それぞれの気候下で、日本館でアテンダントとして働く多様な人々が快適に美しく着られるユニフォームです。
Creative Team 日本館クリエイティブチーム
©Allan Abani
総合プロデューサー/総合デザイナー
佐藤オオキ
1977年カナダ生まれ。2000年早稲田大学理工学部建築学科首席卒業。2002年早稲田大学大学院修了後、デザインオフィスnendo設立。東京とミラノに拠点を構え、建築・プロダクトデザイン・ブランディングなど多岐に渡ってデザインを手掛け、イタリア・フランス・イギリスでのデザイナーオブザイヤーなど、世界的なデザイン賞を多数受賞。TOKYO2020の聖火台デザインを担当した他、フランス高速鉄道TGV新型車両のデザインも手がける。
コピーライター
渡辺潤平
1977年千葉県船橋市生まれ。早稲田大学卒業後、2000年に(株)博報堂入社。2007年に(株)渡辺潤平社設立。広告キャンペーンの企画立案のみならず、コーポレートスローガンの策定や商品・企業のネーミング、作詞など、言葉を中心としたコミュニケーションを幅広く手掛ける。カンヌ国際広告祭、ACC賞、TCC新人賞、日経広告賞、ギャラクシー賞など受賞。山梨県北杜市にて書店「のほほん BOOKS&COFFEE」を経営している。
アートディレクター/グラフィックデザイナー
色部義昭
1974年千葉県生まれ。東京藝術大学大学院修了。(株)日本デザインセンター常務取締役、同社内にて色部デザイン研究所を主宰。Osaka MetroのCI、国立公園のVI、須賀川市民交流センター、市原湖畔美術館などの公共施設のVIとサイン計画から企業や商品のブランディングなど幅広くデザインを手がける。亀倉雄策賞、ADC賞、 SDAサインデザイン大賞(経済産業大臣賞)、CSデザイン賞グランプリ、JAGDA新人賞、One Show Designゴールドペンシルなど国内外のデザイン賞を受賞。AGI、東京ADC、JAGDA、日本デザインコミッティーの会員。
建築デザイン(基本設計・実施設計)
日建設計
創業1900年、建築・土木の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を⾏うプロフェッショナル・サービス・ファーム。日本館の設計担当者はホキ美術館や有明体操競技場など美術館や木材利活用の設計実績を持ち、日本建築学会作品賞、JIA建築大賞、ウッドデザイン最優秀賞、ARCASIA Awards Gold Prize、RIBA Awards 他、国内外の受賞多数。日本館では国産杉材によるCLT(直交集成板)を、構造耐力を有する内外壁に活用。技術とデザインをインテグレートし、展示と一体となったパビリオンとして設計した。