JUNKAN Museum 循環ミュージアム
クリエイターが描く「循環」
多様な視点、思想、表現から見つめる「循環」は、こんなにおもしろい!
現代アーティスト
小松美羽
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人々の生活の中にエネルギーが循環して、溶け込んでいく
大阪府此花区のアートプロジェクト『konohana permanentale 100+(コノハナ ペルマネンターレ ヒャクプラス)』の第一弾作品として、正蓮寺川公園に立体造形物の水龍さんを制作させていただきました。今作のプロデューサー・岡田准一さんにお声がけいただいたことがきっかけです。
此花区の正蓮寺川はかつて水質汚濁という課題を抱えていましたが、住民と自治体が一体となって乗り越えてきた歴史があります。現在の正蓮寺川公園はとても気持ちのいい場所で、子供たちもたくさん集まっています。この公園は台風や豪雨で水害が発生した時、水を溜めて氾濫を防ぐ役目も担っています。水にまつわる場所だからこそ、水龍さんが存在することで、水を守り、浄化して、この地の未来が清らかなものへと紡がれていくと思います。雨の日には、水龍さんが喜ぶ姿が見られるかもしれません。水龍さんのところで待ち合わせ、なんてことが起きたら素敵ですね。
関西・大阪万博の公式キャラクターはミャクミャクくんですが、「脈」はとても重要な概念。龍脈という概念に通じます。龍のエネルギーが脈々と行き交う通路のようなイメージです。この公園の地下には高速道路が通っていて、それも生活の循環・脈と言えます。歴史、人、生活が交差する場所に水龍さんがいて、人々の生活の中にエネルギーが循環して、溶け込んでいく。未来がそんな循環の環の中で美しく調和していく。水龍さんがこの場所の過去と未来をつなぐ象徴になってくれると信じています。
写真:玉村敬太
小松美羽
1984年、長野県生まれ。幼少期より自然豊かな環境で様々な生き物と触れ合い、その死を見届ける中で霊性に目覚める。生きとし生けるものが魂において平等であるという独自の死生観をもとに、神獣を主なモチーフとして作品を発表。日々の瞑想と深い祈りの果てに辿りついた境地から“The Great Harmonization”(大調和)という創作理念を提唱し、美術史に新たな1ページを刻む存在として期待を集めている。女子美術大学特別招聘教授、東京藝術大学 非常勤講師も務める。